理数科について

 理数科の基本方針 
 自然科学や数学に興味関心が非常に高い,所謂「理科好き・数学好き」の生徒を集め,3年間の教育では,単なる知識の習得に終わらずに関連技能も身に付けさせ探究的な学習活動を重視し,観察力・分析力・考察力を伸張させ,将来わが国の科学技術の発展に貢献できる人材を育てる。 


普通科と理数科の違い 
 普通科と理数科のどちらも国公立大学進学を想定した教育課程を編成していますが,その中身は大きく異なっています。 
 普通科は1年次には全員が共通の授業を受け,基礎的な学力を高めます。2年次以降は文系と理系に分かれ,それぞれ異なった教科・科目を学びます。一方,理数科では1年次より理科や数学の授業を多く受けるだけでなく,野外巡検,研究所訪問,課題研究など理数科独自の活動によって,自然科学に関する知識や教養を深め,学問への興味や関心を深めていきます。

〔課外活動の事例〕
生物巡検(1)
〔内容〕
 月山の志津地区にある山形県立自然博物館の自然観察路を歩き,植物の垂直分布と環境との関係・植生と動物の関係・動物相互の関係について,ガイドウォークにより観察および実習を行う。
〔生徒の感想〕
 いつも見ることができない生物、植物、動物(の糞)などを直に見ることができ、ガイドさんの詳しい説明や三角測量などを通してより深く知ることができ、今回の巡検は私たちの進路として1つの糧となりました。また、私は今回の月山への登山が初登山となり、生体を知りながら登山することの楽しさを知ることができました。


生物巡検(2) 
〔内容〕
 午前は,各班に分かれ,有機栽培と化学肥料を用いた栽培(慣行栽培)による稲の成長及び水田の生態系について調査しデータを収集する。午後は,収集したデータの分析を行い,その結果から,環境への農業の影響について考える。
〔生徒の感想〕
 有機栽培と慣行栽培との違いについて、巡検の前まではあまりよくわかっていなかったのでいい勉強になりました。そして、栽培方法が違うだけで稲の状態や水田に住む生物などにも大きな違いがでるということを知りました。特に糸ミミズの数は慣行栽培では一桁がほとんどだったのに対し、有機栽培では百匹以上もいたことにとても驚きました。
 最近の農業は、ほとんどが県で決められた範囲内での農薬を使用しているそうですが、農薬を使った栽培は環境に少しでも影響を与えることになるということを知りました。たとえ私たち人間の体には影響がなくても水田に住む生物には影響があるということです。そのような問題をうまく解決することができればもっとより良い農業になると思います。
 午後に行った統計解析は、最初はきちんと結果が出せるのかなど色々と心配していましたが、処理(栽培方法)の差は統計的に有意かを評価することができたのでよかったです。


 
地学巡検
〔内容〕地質年代で新生代第三紀鮮新世とその上位である竜の口層と向山層(広瀬川凝灰岩)の観察と,高温型石英(広瀬川凝灰岩より)と化石(竜の口層より)の採集をする。
 校内での事前学習で地質古生物の基礎を学び,現場では大学の名誉教授の講師から指導を受け,その後質疑応答の講義を受ける。
〔生徒の感想〕
 今回の地学研修で初めて本格的に化石を掘りました。また、向山層という高校から焼河原まで伸びている地層を見ることや、なかなか経験できないことを経験することができました。講師の永廣先生に化石を上手く掘り出す方法を教えていただいたり、化石や地層についての講話をしていただいたり、とてもお世話になりました。永廣先生の講話のなかで1番印象に残っているのは、示準化石になるための条件です。示準化石になるためには、早い進化速度、広い地理的分布、豊富な個体数という条件がなければいけないそうです。珍しすぎると示準化石にはなれないそうです。今回の巡検で学んだことを、今後の授業や地学的な問題に生かしていきたいと思います。

   


物理地学巡検
〔内容〕仙台市天文台にて,大型天体望遠鏡を使用し,天体観測機器の仕組みを理解する。展示室内の各種天体モデルを使い,太陽系や銀河系ついての理解を深め,ケプラーの法則,ニュートンの万有引力の法則に基づき,「地球の重力加速度gを計算により確認」「ケプラーの第三法則の計算による確認」「万有引力の法則を使った各惑星の公転速度の計算による確認」等の課題を行う。また,プラネタリウムを使い,恒星の進化を解説したプログラムによる学習を行う。
〔感想〕
 今回の巡検は事前学習が計算ばかりで大変で、公式の理解に苦しみました。ですが、それを乗り越えたことにより、天文台での展示物の内容もすっと頭で分かることができました。また、ひとみ望遠鏡を見学したり、館内で売られていた宇宙食を食べたりしました。このような様々な経験ができ、有意義な時間を過ごせたと感じました。

研究所訪問
〔内容〕産業技術総合研究所コンパクト化学システム研究センターの施設を見学する。構成する5つのチーム(コンパクトシステムエンジニアリングチーム,触媒反応チーム,ナノボーラス材料チーム,先端機能材料チーム,無機生体機能集積チーム)から,2チームを訪問する。
〔生徒の感想〕
*有機物の合成の実験を見たときに,自分が大学でやってみたかったことの一つだったので,見ていて面白かった。
*(中略)特に超臨界について,もっと調べてみたいと思いました。大学院生のみなさんに勉強のコツを教えていただいたので,それを参考に勉強をがんばりたいと思います。
*すべてがすべて魅力的だった。人類がまだ知らない未知へ通ずる実験だと思うと知的好奇心がくすぐられた。
*普段から目にしている実験器具の作り方は前から気になっていたので,今回の見学で実際に見ることができてよかったと思う。
*実際に研究で使っている顕微鏡やその他の様々な機械を使って,ナノスケールの生体分子の運動などを詳しく見ることができよかったです。


出前授業(数学分野)
講師:筑波大学数理物質系教授 磯崎洋先生題目  「空間」ってどんなもの
 ギリシャ時代には幾何学とは円や三角形などの図形の性質を考えるものでした。立体や円錐曲線、また球面上の三角形等、考える範囲は拡がりましたが、千数百年間、図形を考えるという点は変わりませんでした。その中でユークリッドの「原論」に書かれた平行線の公理の問題が難問として残ってきました。この問題の本質が宇宙の彼方までこめた空間の認識の仕方にあると気付かれ始めたのは19世紀のことです。非ユークリッド幾何学は荒唐無稽として最初は嘲笑の的でした。数学として認められたのは誕生してから30年以上たってからです。そして20世紀になってアインシュタインの相対性理論によって現実の宇宙は非ユークリッド的であることが示されたのです。幾何学と人間の空間認識の歴史についてのお話をします。

〔生徒の感想〕
 今回の講義の内容は正直とても難しかったので,理解するのに結構時間がかかりました。また,初めて耳にする話が多く,ユーグリットの第5公理や三角形の話はとてもおもしろかったです。三角形の内角の和は180°とは限らないことなど,私の中での常識がいくつも覆されたので「もっと知りたい」と思うのと同時に,「やっぱり数学って面白い」という感情が生まれました。
 今回初めてで前講義を受けたが,とてもレベルが高い内容だなと思いながら受けていた。(中略)だが,とても楽しかった。なぜなら,自分たちが今まで当たり前,普通だと思っていたことが通じなかったからだ。

理数科の活動ブログ【更新中!】

理数科+自然科学部「小学生向け科学実験教室」に参加!

7月の日曜日,本校理数科1、2年生4名と,自然科学部のメンバーがスリーエム仙台科学館にて、

小学生向けの科学実験教室を行いました!

2階第4実験室が向山高校の専用実験室でした。

実験の内容は「アルソミトラをはじめとして種子の散布のさせ方」(植物の種がどのように飛ぶか?のモデル実験)

「ムラサキキャベツを用いたpHによる色の変化」でした!

 

会場は小学生の親子連れで賑わいました!

小学校低学年から高学年まで50~60名が向山高校の実験室に訪れました。

訪れた小学生ひと組ずつと個別に実験を楽しみました!

写真は「種子の散布」の実験の様子です。

種のモデルを折り紙で作っている様子です。

下の写真は、ムラサキキャベツの実験です。

溶液の色が変わる様子を楽しむ小学生(親子)がたくさんいました!

理数科と自然科学部の皆さんは、とても丁寧に指導していました。

参加のメンバーです!

◆理数科 理数委員の皆さん

 ・佐藤希一さん(1年)・百井蓮太郎さん(1年)・乙供尊さん(2年)・本多正樹さん(2年)

◆自然科学部の皆さん

 ・阿部稔紀さん(1年)・大友芳起さん(1年)・板垣智大さん(1年)・戸部善成さん(1年)・早坂泰地さん(1年)・狩野葵さん(2年)・久野竜成さん(3年)・佐藤理来さん(3年)

本企画は、宮城県教育委員会主催「宮城県SSH指定校及び理数科設置校合同発表会」によるものです。

課題研究 大学訪問!【理数科のブログ】

宮城教育大学にて、学問研究の進め方を学んできました。

写真:宮城教育大学 内山哲治 教授(理科教育講座・物理分野)による超伝導の講義の様子。

この日は、内山教授による「課題研究の進め方」講義から始まりました。

 理数科2年5組の生徒たちは、メモを取りながら真剣に学んでいます。

全体講義の後は,課題研究のグループ別に研究室を訪れました。

写真は、出口 竜作教授(生物分野)の研究室です。

クラゲを見せてもらっています。大学生が実験しているところでした。

数学分野のグループは卒論ゼミを見学させていただきました。

大学生の発表の様子です。

最初にご紹介した内山教授の研究室にて。超伝導の実験の様子です。(下の写真)

宮城教育大学1号館の前で集合写真!

初夏の大学にて。良き学びの一日でした。

理数科ガイダンス【理数科のブログ】

本日,1年生理数科40名を対象に理数科の活動と今後の研究への意識を高めるガイダンスが行われました。

恒例の「理数科ガイダンス」です。

 

学校長のあいさつ。

平塚智己 理数科主任からは,理数科の目標,行事についてのお話がありました。 

2年生の理数科の先輩から,昨年の理数科行事の紹介がありました。

生物巡検についての説明(2年生より)

地学巡検について(2年生より)

数学講演会について(2年生より)

 

3年生理数科の生徒(昨年度県の発表会に出場)からは,モデル発表がありました。

写真は物理班「エネルギー変換効率について」

 続いて化学班「生分解プラスチックの分解速度の違い」

 発表後の質疑応答では積極的に手を挙げて質問する一年生の姿もありました!

化学班の3年生との質疑応答も活発でした!

 

一年生の皆さんは理数科としての活動の一歩を歩み始めました。

 

 

 

課題研究発表会【理数科のブログ】

2年生の初めからグループ毎に取り組んできた「課題研究」の総まとめとなる「課題研究発表会」が開催されました!

10月の中間発表会を経て、さらに探究を深めてきました。

 発表会では、全10グループによる発表が行われました。

生物班(3)、地学(1)、物理(2)、化学(3)、数学(1)による研究成果の発表です!

※( )内は班の数です。

学校長の挨拶の様子です。理数科2年生(発表者)、1年生が会場にいます。

発表前、緊張して座る様子です。

発表の様子です。質疑応答も活発に行われました!

自分たちで発表の評価をしながら真剣に臨んでいました。

こうして発表が続いていきます。

内容を深めるような良い質問も出ました!

発表者は2年生。司会と計時を担当したのは1年生です。

 

宮城教育大学の出口竜作 教授、内山哲治 教授より講評をいただきました。

 

 

理数科 今井健文 主任 による閉会の挨拶で終了しました。

 

理数科にとっての一大行事がこの「課題研究発表会」。

発表会を終えた充実の表情をご覧ください!(集合写真)

 

課題研究 ポスター発表会【理数科のブログ】

「課題研究 中間発表会」の内容を踏まえ、新たに作成した研究発表ポスターによる「ポスター発表会」を行いました。

 発表者は理数科2年生(2年5組)の全員。課題研究の班ごとにポスターの前に立ち発表しました。

 

 

参加者は理数科1年生(1年5組)の全員、理数科3年生(3年5組)の全員。

 

向山高校理数科全生徒が参加する発表会は、今年で2年目を迎えました。

発表は前半、後半に分けて行いました。

上の写真は理数科3年生が質問をしているところです。このように質疑応答も活発に行われ、良い学びの機会となりました!

 

全員が「いいね!シール」を持ち、良かった発表のポスターに貼っていきます。

2月にある最終発表に向けてさらに研究をまとめていく予定です。

出前授業(数学分野)がありました!【理数科のブログ】

理数科1年生を対象とした、大学の研究者による出前授業がありました。

 

くらしをささえる建築などの「造形」に関心を持ち、「数学」の活かされ方を考え、とくに「空間・時間」の視点から生活デザインをみつめ、関連分野の学びや仕事への関心を寄せることをテーマとしてお話いただきました。

講師は、東北工業大学ライフデザイン学部 生活デザイン学科 大沼 正寛教授です。

大沼教授には6年間お世話になっております!

数学と身近な生活デザインがどのように関わっているか、わかりやすく、詳しくお話いただきました。

理数科1年5組の生徒たちは、皆、熱心に耳を傾けていました。

講義の後、限られた時間にもかかわらず、熱心に質問をする姿が印象的でした。

講義の最後に、代表の生徒がお礼の挨拶をしました。

2年生から始まる課題研究につながる学びの機会となりました!

 

課題研究中間発表会【理数科のブログ】

4月から取り組んできた理数科2年生の「課題研究」の中間発表会が行われました。

興味関心のある分野に分かれてのグループ毎に、日夜実験や、観察を続けてきました。

資料を取りつつ、緊張が高まっていきます。

発表会の運営も自分たちで行います。

発表前、張り詰めた空気の教室。校長先生が最前列にいらっしゃいます!

プログラムはこんな感じです。様々な分野の研究がなされていますね。

発表の様子です。質疑応答が活発になされていました!

 

質問する方も、質問に答える側も真剣そのものでした!

 

 

発表の後に講評をいただきました。

校長先生「2月のより良い発表につなげていってください。」

宮城教育大学 内山教授より、各班に丁寧なアドバイスをいただきました。

今回の中間発表を経て、2月に理数科発表会が行われます。

測量体験が行われました!【理数科のブログ】

2年生の理数科行事で「測量体験授業」が行われました!

学習したことを応用する実習の場,キャリア学習の場として、毎年実施しています。

宮城県土地家屋調査士の方々15名のご指導のもと、測量器を使っての体験授業です。

まずは,講師を代表して 中嶋 秀さん(本校卒業生)によるデモンストレーション。

その後、自分たちで図形を描きます。(向山の「ム」を書いているそうですよ!)

冷たい秋雨が降るなか,熱心に取り組んでいました。

 

作図中!細やかに合わせています。

いよいよ、「ム」が完成!

グループごとに次々と完成していきます!全7グループが完成した「ム」が7個並んだ景色は圧巻です!

次は、完成した「ム」形の面積を計算します。理数科が得意とする分野です。

物理、数学Ⅰで学習した三角関数の知識を応用しながら面積を計算しています。

どの班も正解値に近い面積を算出しました!(素晴らしい!)

講師の方々にも「物覚えがよく、素晴らしい取り組みでしたね。」とお褒めいただきました。

記念撮影です!(理数科2年5組と講師の先生方)

生物巡検② 月山に行ってきました!【理数科のブログ】

8月2日(火),一学年理数科生物巡検として,山形県西川町「山形県立自然博物園」に行ってきました。

現地に到着!

 

到着後,ガイドの方々ご指導のもと,自然観察と実習をしました!

40名が7つの班に分かれての実習です。

 

月山信仰についてのお話もいただきました。

最初に,観察の注意をいただきました。

冷たい沢の水を汲んでいる様子です!

途中、このような道も!そして,このトチの木の上の部分は・・・!!

 何と「トチノサウルス」に乗りました!自然の造形に驚きつつ・・・(トチの木です!)

自然観察を十分に満喫し, 戻ってきました!

オタマジャクシ、発見!!

 最後に,ガイドさんによる講義と実習のまとめがありました。

お礼の挨拶をし,月山を後にしました。

 

 

 

生物巡検に行ってきました!

理数科1年生が東北大学大学院農学研究科 川渡フィールドセンターへ

生物分野の野外巡検に行ってきました。

朝 仙台駅に集合し,バスで現地へ!

 当日は あいにくの大雨でした。午後から晴れるかもしれない、と淡い期待を抱きつつ・・・。

センターへ到着後,東北大学農学研究科の田島亮介先生,福田康弘先生より巡検についてのお話をいただきました。

田島先生からは実習について講義をいただきました。

 

 

 

調査に必要な道具を揃えます。

 

 福田先生からは、大学の研究についてのお話もいただきました。

 

 大学院生の方からのお話もありました。

 あいにくの大雨は晴れず。水田での実習は中止となり、屋内での計測となりました。

 稲の株と高さの計測方法を学び、実際に計測しました。

 本当は田んぼの中で行う予定でした。

 ものさしを使っての計測です。

計測したデータをまとめていきます。

 計測データを計算しています。得意な分野です!

お互いにデータを見比べている様子です。

 

 帰り道,田島先生に実習で訪れる予定だった田んぼの様子を説明していただきました。

外の大雨の様子、写真から伝わるでしょうか・・・。

佐々木康成さんが生徒代表あいさつをしました。

「貴重な経験、ありがとうございました!」

 東北大学大学院農学研究科の先生おふたりです。大変お世話になりました。