校長あいさつ

創立記念日に寄せて

 2018.6.25 校長 水口 俊彦

 本校が開校した昭和50年は,昭和48年からの第一次,第二次オイルショックの煽りを受けて,宮城県の財政が逼迫していく最中であったことがPTA会報である「向陵だより第1号」から読み取れる。当時新設校であったにもかかわらず,本校が校舎を新築できなかったことはそのことが理由であろう。そのような創立時の社会状況も背景としてあるのだろうが,本校の教育目標は4項目すべてが「豊かな人間を育てる」と結んでいる。物質的な豊かさに対するアンチテーゼを含んでいるようにも感じられる。「豊か」ということばは学校教育には比較的よく使われる。国民の多くが「豊かさ」には充実感や満足感,充足感をイメージすると思うが,時代を追って考えてみると,日本が歴史的に最も貧しかったと考えられる太平洋戦争終戦直後の,精神的なダメージを克服してきたからこその戦後特有の価値観も加わっているように思う。
 本校の創立者である鎌本武男初代校長が創作した校訓や校歌の歌詞からは,その「豊かさ」とともに,民主的な学校像を求めていたことが読み取れる。社会的価値観が大きく変革を求められた終戦の昭和20年を経験した人たちにとって,本校の開校年度は一つの節目となる30年が経過した年でもある。昭和50年という年には,「豊か」ということばも「民主的」ということばも,現在よりずっと輝いていた。その輝きは世代によっての深さは異なるが,ある「憧れ」を伴った輝きであったように思う。そのような人々の社会的な「憧れ」の中から本校,仙台向山高校は生まれている。
 さて,毎年年度末に発刊される生徒会誌「黎明」には,時の生徒会長が原稿を寄せている。その伝統の中,平成16年度「黎明第30号」にある,当時の生徒会長 第29回生 勝部彰太君の文章「止め処無い考え事」から最後の一節を引用する。「最後に一つだけ。生徒の皆さん,もっと学校に関心を持って欲しい。シナリオが初めから用意されているお話とは違い,皆さんの行動力次第で,一人一人が主役になれる可能性がこの学校にはあるのだ。それをどうか分かって欲しい」。そして現在。前生徒会長 永井珠李さんがホームページに寄せている挨拶文にも,「本校は,生徒会執行部,各種委員会を中心に生徒中心の生徒会運営であると断言出来るほど私たち生徒が主役になれるとても素敵な学校です」とある。
 開校から44年が経過した仙台向山高校であるが,今でも「民主的」は憧れの中にありながら,鎌本武男初代校長の創立時の理想は輝き続けている。

 


  2018年4月19日



「平成30年度の風」 


校長 水口 俊彦

 


 4月9日に新任式,始業式,並びに入学式を終え,平成30年度が始まっています。日差しの力強さとともに,生徒たちの前向きな笑顔で,学校中が学年のはじまる期待感にあふれているように感じられます。

 

 本校は,初代校長 鎌本武男先生が定めた「自律 和敬」の校訓のもと,創立以来制服を定めず生徒の主体性を尊重し,同時に節度ある高校生活を模索させながら,向陵文化とも言える独自の校風を築いてまいりました。創立20周年となる平成6年度には,普通科に加え,社会の要請に応え生徒たちの進路の多様化に対応するべく理数科を設置し,現在創立44年目を迎える学校です。

 

 また,本校は仙台市内の高等学校では唯一となる1学年5学級規模(生徒定員普通科160名,理数科40名計200名)で,一人一人に目が届くきめ細やかさと,親密感のある空間の中で教育活動が行われています。

 

 さらに,県内の高校では先駆的にキャリア教育を取り入れ,「向陵プラン」と名付けて生徒たちの主体的な学びと進路実現を大きく支援してきました。本年度はこのプログラムをリニューアルし,名称も「向陵Plearning」(PlanとLearningとの造語=本校生徒発案)と改名し,さらに教科学習や様々な教科外活動と一体化して,生徒の自立を支えていきたいと考えています。

 

 仙台中心部から15分ほどの立地であるにもかかわらず,眼下に杜の都が広がり自然豊かな恵まれた学習環境は,長く本校生徒の心の故郷として,卒業後何年経っても高校時代の思い出とともに語り継がれています。

 

 本年度本校は,来る創立50周年に向けて胎動をはじめる年度として,様々な生徒の活動を全面的に支え,学校全体のさらなる活性化に取り組みたいと考えています。関係の皆様からのさらなるご理解とご支援をお願い申し上げます。

 

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