教育活動
授業の一コマ(地理B)
コロナ禍の授業ではありますが,体験的な学習は知識欲を育み,探究的な学習意欲の向上につながります。オンライン授業もあった昨年度,対面授業の良さを改めて確認できた授業を紹介します。
①蚕の飼育から養蚕業を考える
地形図の地図記号から桑畑の記号が消えるなか,昔の日本の基幹産業であった養蚕業についても,絹織物が蚕の繭から作られていることも,教科書からの知識しかない生徒たちがほとんどです。
授業では蚕の飼育キットを取り寄せ,飼育から繭の観察,生糸の取り出しまで一貫して体験できました。
あっという間に成長する蚕。エサは桑の葉を加工した特殊なソーセージ?です。
みんなきれいに繭になりました。そのまま何が出てくるのか観察することもできましたが・・・。
繭を茹でて生糸を取り出します。すっと1本の糸が伸びてくる様に「おぉ~」という声が。
一つの繭から何mの糸が取り出せるのかチャレンジです。
②ヤシの実の使い道は?
熱帯気候を学習する際には必ず写真が出てくるココヤシ。ココヤシから搾油されるヤシ油は石鹸や洗剤,ショートニングなど多様に使われており,油ヤシから搾油されるパーム油と共に熱帯を代表する植物性油脂です。
ココヤシの繊維は乾燥させて燃料などに使われます。身の中にはヤシジュースと胚乳(コプラ)が見えました。
授業では世界の植物性油脂の生産が増加している背景と問題点について考察することができました。
図書館をご紹介します
訪れるたびに新しいコーナーや、楽しい企画が次々と!
本校図書館をご紹介します。
夏休みのある日の図書館。勉強したり、本を読んだりする向陵生の姿。
写真手前、パッと人目をひくコーナーが。ボードには「SHARE BOOK~あなただけの物語の扉を開こう~」の文字。
さらに近寄って見ると・・・。楽しそうです。
手作り感があり、かつハイクオリティーなポップの数々。図書委員、本校生徒の手作りです。
つい、手にとってみたくなります。そして、コーナー正面には「展示本すべて貸出OKです!」のメッセージも。
今年になって新設された本の検索コーナー。
そして、新たにリラックスコーナーもできていました。
◆本校図書館司書にインタビューしました。
Q:新たに検索コーナーが設置されたり、リラックスコーナーがあったり、生徒手作りのポップが楽しそうだったり・・・と、訪れるたびに新しい魅力が増している図書館ですが・・・、何か「ねらい」はありますか?
A:生徒の皆さんには、情報センターとしての図書館の利用を身につけて欲しいと考えています。インターネット上には、本にはない最新の情報が溢れていますので、ついついインターネットの情報で充分だと思っている人も多いと思います。でも、ネット上の情報は、常に次から次へと流れており、玉石混交で内容も部分的かつ、断片的であったりします。それに対して、本からはまとまった専門的な情報や著者の考えなどを具体的に知ることができます。インターネットで得た情報に興味を持ったら、次には本(や新聞・雑誌)でより深く調べてもらえればと思います。図書館の生徒用の蔵書検索システムはそのために設置しました。向陵生の皆さんには是非、メディアに応じた特徴を知り、情報を見極めるスキルを身につけて欲しい、と考えています。
(図書館入口右側。新着図書、小論文参考図書の棚)
Q:さまざまな情報メディアがある現在、本を読む意義は何でしょう?
A:本を読むことで、考えてもみなかった他者の意見、考え方の存在を知ることができます。物語やノンフィクションを自身が経験したことがない立場になって読むことは、異なる人生の疑似体験となり、想像力、相手を慮る力を得、人間的な幅が広がると思います。
Q:図書館は訪れるたびに魅力が増しています。リラックスコーナーがあったり、生徒手作りのポップが楽しそうだったり・・・、とワクワクする空間作りをされていますね。
A:基本的に読書は自由なものです。まずは、楽しさ、面白さを知るきっかけの場になって欲しいと考えています。
(図書館前の廊下。小論文資料案内)
「情報センター」としての図書館は、扉を開ける前から始まっています。図書館前の廊下には、思わず立ち止まりたくなる展示や掲示が。新聞記事の掲示コーナーもあります。
授業とコラボ企画も。国語の授業で課題となったレポートの原画展です。
レポートの素材となった夏目漱石、宮沢賢治の書籍も紹介されています。もちろん貸出可能です。
夏休み後、1学年の向陵plearningにおいて、いよいよ「ビブリオバトル」が始まります。図書館の前を通り、眺めて、見て、そして扉を開けて・・・、多くの向陵生が、読む喜び、知る楽しさを実感できることを願っています。
「コーチング」研修会
6月半ば、中間考査の午後、本校教職員を対象に研修会が開催されました。
向山高校では、昨年度から「自立した学習者の育成~生徒の自主的な学びを促す教師の関わりを考える」という研究テーマのもと教職員が教育活動のあり方を模索しています。
今年度は、東北大学名誉教授、日本大学理工学部教授の北村勝朗先生を講師としてお招きし、「生徒の自主的な学びを促すためのコーチング」と題してご講義いただきました。
北村先生は、教授学習心理学をご専門とし、主に才能、熟達化、コーチング、メンタルマネジメントの研究および指導実践をなさっています。
「コーチング」はスポーツ、部活動の場面だけではなく、学校行事、SHR、進路指導、生徒指導、教員間連携、そして授業づくりなど教育活動のあらゆる場面で活かすことができそうです。
「コーチング」とは何か、教育活動にどのように活かせるのか。
ご講義いただいた後は、小グループに分かれてのワークショップを行いました。
断片的な情報をどう生かし、どうまとめ、解決に近づくか・・・というゲームです。
企業の就職面接においても使われているゲーム・・・ということです。
熱心に取り組んでいます。
グループで見いだした答えを発表していきます。
正解だったグループは・・・、思わず歓喜の声。
どのようにしたら正解にたどり着くことができたか、振り返りをしました。
課題を取り違えてしまった、思い込みで失敗した、人の話をしっかり聞くべきだった、などの反省の声も・・・。
「コーチングとは、特別なものではなく、日常的な会話、かかわりの中で実践できることです。ふだん皆さんが実践していることを意識して行うことで良いと思いますよ。 」という北村先生の言葉が印象に残りました。
参加した教職員の声をご紹介します。
◎具体的で、すぐ教科指導や生徒指導に応用、実践できる内容だった。
◎楽しみながら協働について考えることができた。
◎クラス経営や部活動の指導だけでなく、人との関わりに対しても活かすことができる内容で非常に勉強になった。
◎部活指導のためメンタルトレーニング、コーチングの書物を読みあさった時期があったが、それを授業に置き換えることをしなかったことを反省する機会となった。